Research Press Release
HIVの隠れ場所
Nature Medicine
2010年3月8日
エイズウイルスは造血系前駆細胞(血液細胞を生じる)に感染する能力をもち、休眠状態になって持続感染を引き起こすという。HIVが感染した休眠状態の細胞という潜伏場所が判明したことは、持続感染を妨げる新しい治療法の開発に重要な意味をもつ。
HIVが慢性感染すると、特定の免疫細胞集団の枯渇と日和見感染の発生という特徴的な症状がみられる。ウイルスの広がりを防ぐ薬剤はあるが、治療に抵抗性する潜伏感染細胞が詳しくわかっていないために、HIV感染自体を解消させるのは難しかった。K Collinsたちは、造血前駆細胞にもHIVが感染することと、この細胞中でウイルスが休眠状態になり、特異的な分化因子によって目覚めるまでそこに潜んでいることを明らかにした。
doi:10.1038/nm.2109
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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