Research Press Release
アルツハイマー病のモデルマウスにおけるシナプスの減少
Nature Neuroscience
2010年12月13日
アルツハイマー病のモデルマウスにシナプスの減少や認知能力の低下をもたらす早期の病理過程が解明され、Nature Neuroscience(電子版)に報告される。この早期の病態は、低分子薬剤によって抑制できるかもしれない。
F Cecconiらは、ヒトの遺伝性アルツハイマー病の原因となる変異遺伝子をもつマウスを研究した。このマウスは、身の危険を感じる環境を覚える能力を、生後3か月で失う。研究グループは、酵素カスパーゼ-3がマウスの海馬で同時期に活性化することを突き止めた。海馬は、記憶に極めて重要な脳領域である。カスパーゼ-3は神経細胞死の引き金となるが、この場合海馬の神経細胞は死なず、カスパーゼ-3活性が第二の酵素の活性化を介して海馬シナプスの重要な受容体分子を除去するので、シナプスの機能が損なわれる。研究者らは、カスパーゼ-3阻害薬はシナプスからの受容体欠損を防ぎ、マウスが記憶を維持して痛い電気ショックを受けた飼育箱を覚えていられるようになったことを示している。
ただし、カスパーゼ-3による機構がアルツハイマー病患者の早期段階の記憶減退を同様にまねいている可能性や、またカスパーゼ-3阻害薬がヒト疾患でも進行を遅らせられるのかは、まだ調べられていない。
doi:10.1038/nn.2709
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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