Research Press Release
マウス遺伝子の機能解明が大きく前進
Nature Genetics
2015年7月28日
これまでで最大規模のマウス遺伝子の機能解析が行われ、数多くの遺伝子について、これまで知られていなかった機能が判明した。今回の研究は、全てのマウス遺伝子の機能解明を目指した今後の研究の方法の1つとなる。この研究成果について報告する論文が、今週掲載される。
マウスのゲノム中の遺伝子の約3分の1は、何らかの表現型(身体的形質)と結び付いている。しかし、表現型として注目されるかどうかは、通常、研究者の具体的な関心によって決まっている。
今回、8か国の18の研究機関から集まったSteve Brownの研究グループは、マウス遺伝子(320個)の既知の変異の表現型を全て解析するパイロットプロジェクトを行った。今回の研究では、それぞれの変異マウスについて、体重、代謝関連形質、行動関連形質など413の形質が計測された。その結果、これまで機能が明らかになっていなかった179個の遺伝子のうちの152個について、関連する表現型が同定された。例えば、これまで機能が分かっていなかったElmod1遺伝子という脳内で発現する遺伝子については、その変異が絶食時血糖値の低下、低体重、行動異常(驚愕反応低下、活動性の亢進など)と関連していることが認められた。
doi:10.1038/ng.3360
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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