Research Press Release
視覚認知の「大きさ」
Nature Neuroscience
2010年12月6日
脳の一次視覚野の大きさは、よく知られた2種類の錯視を人が見るときの仕組みと相関することが、Nature Neuroscience(電子版)の論文で報告されている。この脳領域は視覚認知に重要なことが知られているが、今回の研究では、その大きさもまた意識的視覚体験を調節することが示唆されている。
S Schwarzkopfらは、機能的磁気共鳴画像法により、被験者の一次視覚野(V1)を含む一連の視覚野を区分けした。次に被験者のV1表面積を算定し、単 純な幾何学図形だが実際とは面積が異なって見える2種類のよく知られた錯視を見せた。
その結果、被験者の一次視覚野が大きいほど錯覚の度合いが小さいことがわかった。この相関は一次視覚野に特異的で、調べた他の視覚野にはなかった。この結果、意識的視覚体験の変動は一部にはV1のサイズの変動による可能性が示唆される。
doi:10.1038/nn.2706
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
