ペンギンの衣をまとったローバー
Nature Methods
2014年11月3日
A rover in penguin’s clothing
自然界の生息地でペンギンなどの野生動物を監視するのに使用可能な遠隔操作車(ローバー)は、動物の行動に対して人間ほどの影響を与えない、という報告が、今週のオンライン版に掲載される。
データ収集の際、野生動物に接近すると、動物のストレスおよび逃避行動を引き起こし、研究結果の意義を損なう場合がある。人間による撹乱を最小限にしながら自然環境の動物を研究する方法は、生態学の方法論的課題の1つとなっている。現在そうした研究に用いられているツールとして、動物への受動集積トランスポンダー(PIT)タグの装着が挙げられる。PITタグでは、個体群のスケールで動物個体を監視することができるRFID(無線周波数識別)が利用されているが、このタグは、装着した動物がアンテナの近くにいるときにしか読み取ることができない。
Yvon Le Mahoたちは、RFIDタグを読み取るアンテナとしてローバーを利用することによって抱卵中のオウサマペンギンに対するストレスを軽減することができるかどうかを調べた。その結果、ローバーが接近した際のペンギンのストレス応答(心拍数および行動)は、研究者が接近した場合と比較して大幅に低レベルであり、その持続時間も短かった。また、ローバーが静止しているときはコロニー構造の撹乱が収まり、心拍数および行動も短時間で正常に戻った。
研究チームは、ローバーにペンギンの扮装を施し、さらに臆病なコウテイペンギンでも検証を行った。その結果、ローバーはRFIDタグが十分に読み取れる距離までコウテイペンギンに接近することができ、ヒナおよび成鳥のなかには、扮装したローバーに向かって鳴き声を発するものもあった。ミナミゾウアザラシによる予備的研究では、ゾウアザラシがローバーに頭および尾への接近を許すことが確認された。目立った反応を示させずにゾウアザラシに接近することは、人間には不可能である。ローバーについて研究チームは、この3種に対する侵害性およびストレスの限定的なデータ収集法となり、将来的には陸上の鳥類および動物の電子的識別以外の用途にも用いられる可能性があるのではないかと考えている。
doi: 10.1038/nmeth.3173
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