注目の論文
【材料科学】ドーピングによる太陽電池の効率向上
Nature Communications
2013年8月14日
Materials Science: Solar cells pass doping test
折り曲げ自在な太陽電池のドーピングを行って効率を高める際のドーピング制御法が発表され、効率が10%を超える太陽電池を低コストで生産することに期待をもたせる結果が得られた。
折り曲げ自在な薄膜太陽電池は、シリコンのような材料を用いた従来のバルク太陽電池より低コストで作製でき、多目的に使えるが、一般に、折り曲げのできない太陽電池よりも効率が低い。薄膜太陽電池の効率を高めるうえで役立つのが、ドーピング、つまり、薄膜太陽電池に少量の他の金属を組み入れることだが、そのために必要な作製手順によって太陽電池の電子特性が低下する場合がある。今回、Lukas Kranzたちは、テルル化カドミウム(CdTe)太陽電池を銅でドーピングすることで、この課題を克服した。そして、銅原子をCdTe層にドーピングする際に、気相蒸着処理と熱を用いた処理によって、慎重なドーピング制御を行った。これらの層をガラス基板上に形成させて作製した太陽電池デバイスの効率は13.6%に達し、金属基板上に形成させた場合の効率は11.5%となった。これらの値は、工業化に必要な下限値を上回っており、折り曲げ自在な基板上に高効率のCdTe太陽電池を作製する方法の実現可能性が実証された。この方法によるCdTe光起電力デバイスの効率のさらなる向上が有望視されている。
doi: 10.1038/ncomms3306
注目の論文
-
6月12日
コンピューターサイエンス:不正行為を防ぐ乱数生成器Nature
-
6月12日
工学:油絵に生じた損傷を覆い隠すNature
-
6月11日
惑星科学:ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が雲に覆われた新生外惑星を観測Nature
-
6月5日
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
6月5日
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
6月3日
生体医工学:AIペンが筆跡からパーキンソン病を検出Nature Chemical Engineering