進化:いったん降下してから上昇して止まり木に着地する技術を学ぶタカ
Nature
2022年6月30日
Evolution: Hawks learn on the fly to swoop up before perching
タカ科のモモアカノスリ(Parabuteo unicinctus)を4羽使った研究で、いったん降下してから上昇して止まり木に着地する飛行技術が、大型鳥類が着地の際に制御不能となる危険な状況を回避するために役立っていることが明らかになった。この飛行時の制動行動は、経験を通して学習される。今回の研究結果を報告する論文が、Nature に掲載される。
スピードの出た状態で止まり木に着地することは、鳥類にとって最も難しい飛行行動の1つで、大部分の自律走行機は、この飛行行動を再現できない。小さな鳥の中には、ホバリングして着地するものがいるが、大きな鳥は、通常、スウーピング(一定の高度まで降下してから上昇する飛行行動)して着地する。これは、体が大きすぎてホバリングできないためであり、最後に上昇することで運動エネルギーを位置エネルギーに変換して止まり木との衝突を避けるためである可能性が非常に高い。
今回、Graham Taylor、Marco Klein Heerenbrink、Lydia Franceたちは、4羽のモモアカノスリのスウーピングにおける飛行軌跡を観察し、この飛行行動を調べた。そのうちの3羽は、短い距離しか飛んでいない未熟な若い雄で、もう1羽は熟練した成体の雌だった。Taylorたちは、止まり木を5 m、7 m、9 mまたは12 m間隔に設置したコースを設定し、1585回の飛行による飛行軌跡データを収集した。3羽の若い鳥は、最初の数回の飛行では、直接的な羽ばたき飛行によって止まり木の間を移動していたが、まもなく熟練した成体の間接的なスウーピング行動を取り入れて、止まり木から前方にジャンプしてから数回強く羽ばたいて降下し、一定の高度に達すると、羽ばたかずに上昇し、体を上向きに動かして、ほぼ垂直の状態にして、翼を広げ、足が止まり木につかまるようにした。
Taylorたちは、データを分析した結果、スウーピング行動が、エネルギー消費を常に最小化するわけではないが、止まり木に着地するために空中での失速に成功した後、その危険な状態での飛行距離を減らす上で役立っており、着地時に目的地を注視するためにも役立っている可能性があると結論付けた。
doi: 10.1038/s41586-022-04861-4
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