注目の論文
物理学:これまでで最も低いニュートリノ質量の上限
Nature Physics
2022年2月15日
Physics: Smallest neutrino mass recorded
素粒子の1つである反電子ニュートリノの質量が、0.9電子ボルト以下、つまり1.6×10^−36キログラム以下であることを明らかにした論文が、Nature Physics に掲載される。
ニュートリノは、相互作用が弱く電荷を持たない粒子で、電子ニュートリノ、ミューオンニュートリノ、タウニュートリノという3つの異なるタイプがある。ニュートリノの質量は、他の大半の素粒子と比べて極めて小さい。ニュートリノ振動によってニュートリノに質量があることが示されているが、その実際の質量は分かっていない。
今回、KATRINコラボレーションは、トリチウムという放射性同位元素を調べた。この元素は、崩壊してヘリウム、電子、反電子ニュートリノ(電子ニュートリノの反粒子)になる。この崩壊の最大エネルギー分布は、ニュートリノの質量に応じて異なる可能性がある。著者たちは、別の種類の放射性崩壊の悪影響を減らしながら、トリチウムの崩壊数を増やすことで、反電子ニュートリノの有効質量が0.9電子ボルト以下、つまり1.6×10^−36キログラム以下であることを示すことができた。
この結果と、KATRINコラボレーションの最初の組織的な実験の結果を組み合わせることで、ニュートリノ質量がより正確に得られるようになり、ニュートリノに対する理解が少しずつ深まっている。
doi: 10.1038/s41567-021-01463-1
注目の論文
-
7月1日
宇宙での健康:筋肉に抵抗を与える運動が宇宙飛行中の骨減少の抑制に役立つ可能性Scientific Reports
-
6月30日
進化:いったん降下してから上昇して止まり木に着地する技術を学ぶタカNature
-
6月28日
天文学:水素とヘリウムに富む系外惑星は数十億年にわたって生命が存在可能な条件をもたらす可能性があるNature Astronomy
-
6月24日
スポーツ科学:首の歪みを測定する新しいウエアラブルセンサーで脳震盪の疑いを判定できるかもしれないScientific Reports
-
6月23日
科学コミュニティー:科学論文に著者と明記される女性研究者が男性研究者より少ないNature
-
6月22日
惑星科学:水に富む系外惑星における電解質輸送のモデリングNature Communications