注目の論文
エネルギーをあまり節約しない豊かな暮らし
Nature Energy
2018年6月5日
Good living on a lean energy diet
世界のエネルギー消費量を極端に増やさずに、誰もが高い生活水準を享受できるようになるはずであることを明らかにした論文が、今週掲載される。この研究は、経済システム、環境システム、およびエネルギーシステムを初めて統合した解析の1つであり、最近の技術動向を外挿して、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)に重税を課さずに持続可能な開発目標をどのように達成できるかを示している。
長い間、エネルギー消費量の増大と生活水準の向上は結び付いていた。しかし、最近の技術動向と社会動向から、例えば、カメラ、電話器、テレビなどとして機能する携帯電話や、歩いて暮らせる街(walkable neighborhoods)への評価の高まりなどから、発展とエネルギー需要を切り離せるはずであることが示唆される。
今回A Grublerたちは、全球の経済システム、環境システム、エネルギーシステムのモデルにこうした動向を組み込んで、エネルギー消費量を増やしたり危険な気候限界を越えたりせずに、適切な生活水準を世界中に(人口が増大している発展途上地域にさえ)もたらすような持続可能な開発目標の多くを、2050年までに達成できることを示している。
著者たちの綿密なシナリオは、豊かな暮らしへの願望と環境保全の目標が対立する必要がない、いわゆる「よい人新世」という達成可能な未来像の1つを示している。
doi: 10.1038/s41560-018-0172-6
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