注目の論文
カーボンナノチューブが組織損傷を減らす
Nature Nanotechnology
2011年1月31日
Keeping the carbon-nanotube blood flowing
アミン修飾単層カーボンナノチューブ(a-SWCN)が脳卒中モデルラットの組織損傷を減らすことが、Nature Nanotechnology(電子版)の論文で示唆されている。この研究結果は、脳卒中による虚血性損傷に対して単層カーボンナノチューブが保護効果を及ぼす可能性があることを見いだすための、今後の研究の基礎を築くものである。
これまでに、脳卒中で損傷した脳領域に幹細胞を含む足場を移植する治療法が提案されてきた。カーボンナノチューブは好ましい電気的特性を示すため、幹細胞療法の足場候補として研究されている。S S Kimらは、虚血性損傷が起こる前にラットをa-SWCNで前処置し、前処置したラットは、非処置ラットよりも脳組織の損傷量が少なく、運動機能が優れていることを見いだした。a-SWCNは細胞死と炎症を抑えることによって損傷から組織を保護することが、機序研究から示された。
関連したNews and Viewsの筆者であるM Waltersは、a-SWCNを臨床利用可能にするには、脳卒中症状の発現後にa-SWCNを投与しても、a-SWCNの機序とメリットが有効であることを示さなければならないと強調している。
doi: 10.1038/nano.2010.281
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