注目の論文
【ナノテクノロジー】紫外線を利用した化学物質の浄化
Nature Communications
2015年7月22日
Nanotechnology: UV light triggers chemical clean-up
土壌と水から汚染物質を吸収し、紫外線照射によって凝集する分解可能なナノ粒子系について記述された論文が、今週掲載される。このナノ粒子系は、ナノ粒子の高吸収動態とバルク材料の除去の容易さを組み合わせることに基づいた新しい環境浄化の方法だ。
廃棄された化学物質への曝露は、がん、糖尿病など数多くの疾患の発症リスクの上昇に関連している。汚染物質と結合し、あるいは汚染物質を分解するナノ粒子は、汚染された水と土壌が広く見られる現状を解決する方法となるが、生じた副産物が毒性を持つ可能性と、ナノ材料の環境中への残留に対する懸念がある。この新技術がはらむ未知のリスクを考えると、処理後のナノ材料を環境から除去するための有効な方法を見つけ出すことが大事だ。
今回、Robert Langerたちは、汚染された水や土壌と結合し、その中から化学物質を抽出するナノ粒子を開発した。このナノ粒子を紫外線処理すれば、粒子の外層が除去されて、汚染物質を多く含む塊に凝集する。この塊は容易に分離、除去できる。これにより、汚染物質の抽出のために高活性物質を用いることができ、使用後のナノ材料が環境中に残留するリスクがなくなった。今回の研究では、汚水、感熱紙、汚染土壌を用いた予備実験が行われ、この処理方法が有効で、有毒な副産物も発生しないことが実証された。
doi: 10.1038/ncomms8765
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