注目の論文
鉤虫のゲノムから鉤虫感染症の治療と予防のヒントを得る
Nature Genetics
2015年3月3日
Hookworm genome provides clues for treating, preventing infection
寄生性の鉤虫であるセイロン鉤虫(Ancylostoma ceylanicum)のゲノム塩基配列の解読結果の報告が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究結果は、セイロン鉤虫とその近縁種の鉤虫に対するワクチンの開発につながる可能性がある。
セイロン鉤虫を含め、ヒトに感染する鉤虫は、貧血症と白血球減少症の原因となり、妊婦が感染すると命に関わることがあり、幼児が感染すると認知障害を起こすことがある。鉤虫感染症の治療法はあるが、正確な診断が困難なことがあり、ワクチンは存在しない。
今回、Erich Schwarzたちは、セイロン鉤虫のゲノムの塩基配列を解読して、その生物学的性質を解明し、近縁種との比較を行った。今回の研究にセイロン鉤虫が選ばれたのは、ヒトだけに感染する他の鉤虫とは異なり、他の動物にも感染するため、鉤虫感染のモデルに用いることができるからだ。Schwarzたちは、鉤虫の間で保存され、哺乳類には見られない遺伝子を探索し、ワクチン開発にとって適切な標的候補を同定した。その中で特に有望な候補遺伝子は、ハムスターの感染実験で発現レベルが上昇した13個の遺伝子だ。これらの遺伝子によって産生されるタンパク質は、鉤虫の宿主への感染、またはその体内での生存に必要なタンパク質群に属している。
doi: 10.1038/ng.3237
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