注目の論文
腫瘍の形成開始をフィードバック方式で促進
Nature Cell Biology
2009年11月23日
Feeding back on tumour initiation
タンパク質のZEB1は、上皮性腫瘍の浸潤性を促進することが知られているが、膵臓がんや大腸がんの細胞が新たに腫瘍形成を開始するのにも影響を与えて、こうした細胞が新しい臓器に到達した後に、がん細胞として増殖するのを促進しているらしい。この知見は、ZEB1がかかわるフィードバックループを標的とすることが、一部のがんの治療法として有望である可能性を示唆している。
miR200ファミリーに属する低分子RNAは、ZEB1の働きを直接的に阻害して、一部のがん組織からの細胞の浸潤と移動を抑えることが以前に報告されている。一方ZEB1は、miR200の発現を抑制する。今回T Brabletzたちは、miR200が、幹細胞の特性を維持するために必要な、自己複製、増殖や分化抑制などを促進するさまざまの因子も阻害することを明らかにした。彼らはまた、ヒト膵臓がん細胞系列でZEB1が失われると、幹細胞因子のmiR200に依存した阻害により、腫瘍形成開始能が低下することも実証している。また彼らは、マウスおよびヒトに由来する原発巣膵臓がん組織を調べて、分化程度の低い腫瘍ではZEB1と幹細胞因子の発現レベルが高く、それに対して、膵臓がんの長期生存患者から単離された腫瘍ではZEB1のレベルが低いことも明らかにした。
この研究は、ZEB1が、原発腫瘍から移動して転位巣を形成する細胞の幹細胞特性を増強することにより腫瘍の浸潤と開始の両方を促進していることを示唆している。
doi: 10.1038/ncb1998
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