注目の論文

【発生生物学】外性器の初期発生過程の解明

Scientific Reports

2014年11月6日

Developmental biology: Understanding the early development of external genitalia

このほど行われたニワトリ胚の研究で、最終的に陰茎か陰核を形成する前駆細胞が、胚の発生過程で融合する区画化された領域において発生することが明らかになった。この前駆細胞の起源を正確に突き止めれば、生殖器異常を引き起こす事象に関する手掛かりが得られる可能性がある。この研究結果についての報告が、今週掲載される。

外性器の発生過程は、部分的に解明され始めているが、外性器を形成する細胞の起源は分かっていない。今回、Ana HerreraとMartin Cohnは、発生過程のニワトリ胚におけるさまざまな細胞の運命を調べて、陰茎と陰核の前駆体である生殖結節という構造体の形成に寄与する前駆細胞を特定した。そして生殖結節が、胚の右側と左側で、後肢と尾が生じる「芽」の近くに位置する2つの細胞集団から発生することも明らかになった。これらの細胞集団は、体壁が閉鎖する際に融合する。体壁の閉鎖は、胚の右側と左側を「チャックで」合体させる事象で、胚を平らなシートの状態から3次元のチューブの状態に変化させる。体壁の閉鎖が不完全だと、先天性欠損が起こるため、HerreraとCohnは、2つの区画化された細胞集団から生殖結節が発生するという発見は、生殖器異常が体壁閉鎖不全と関連していることが多い理由を説明する上で役立つと結論づけている。また著者たちは、ヘビやトカゲなどの動物において2つの陰茎を持つ事例があることは、左右の性器前駆体集団が融合できなかったことによって説明可能だとも考えている。

doi: 10.1038/srep06896

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度