注目の論文
広がる脳腫瘍
Nature Cell Biology
2008年11月17日
Spreading brain cancer
脳腫瘍の診断が簡単な血液検査によって行えるようになるかもしれない。こうした簡単な検査は、知られている中で最も悪性度の高い脳腫瘍の診断に現在用いられている侵襲的な方法に取って代わる可能性がある。
グリオブラストーマ(神経膠芽腫)は悪性度の極めて高い脳腫瘍で、予後がよくない。腫瘍細胞はマイクロベシクルあるいはエキソソームと呼ばれる、膜で包まれた小さな袋を分泌するが、これには周囲の組織に変化を起こさせるような物質が含まれている。このような小胞は隣接する細胞と融合し内容物を移動させることができ、これが腫瘍の進行につながる。
X Breakefieldたちは、原発巣のグリオブラストーマ細胞が、血管増殖、細胞の増殖や移動、それに免疫系の回避のような、がんの広がりを促進する機能をもつ遺伝物質とタンパク質を含むマイクロベシクルを分泌していることを報告している。そして、グリオーマに関連している2つの特定の分子、EGFRvIIIとmiRNA-21がマイクロベシクル内に存在し、これらが脳腫瘍患者の血液中で検出可能であることを見いだした。
このことから、これらの分子の存在は簡単な血液検査によって突き止められると考えられ、このような方法は非侵襲的ながん診断法として有用だろう。
doi: 10.1038/ncb1800
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