注目の論文
ストレスに誘導される行動変化を子孫に伝えるのはmiRNA
Nature Neuroscience
2014年4月14日
miRNAs mediate propagation of stress-induced behavioural changes to offspring
マウスでは経験によって誘導される行動変化が次世代に受け渡されるが、これを仲介するのは遺伝暗号を含まない非コードマイクロRNA分子(miRNA)に生じる変更だとする報告が、今週のオンライン版に掲載される。
生後早いうちにストレスを受けた雄マウスは「不安症類似」行動の減少を示し、これがその子孫に伝達される可能性があることは、すでに知られている。ただし、これが起こる仕組みについては知られていない。
Isabelle Mansuyたちは、生後すぐに雄マウスを心的外傷にさらし、これがマウスの脳と精子でいくつかのmiRNAの発現を変化させることを発見した。Mansuyたちはまた、ストレスを受けたマウスからとったRNAをストレスのない雄により受精した胚に注入した場合、それで生じた子孫はストレスを受けた雄で観察されるのと同じ行動変化を示すことも明らかにした。
ストレスがどうやって精子にmiRNA発現の変化を誘導するのかは不明だが、今回の結果は外的経験が分子の信号に翻訳されうる仕組みに予備的洞察をもたらすものであり、こうした分子信号が子孫に伝達され、ゲノムの変化に依存せずに子孫の行動変化を導く可能性を示している。
doi: 10.1038/nn.3695
注目の論文
-
7月16日
神経科学:老化と神経変性疾患のバイオマーカーを解明するNature Medicine
-
7月15日
健康:健康な高齢化における世界的な格差の要因の評価Nature Medicine
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月8日
がん:1,100万人を超えると予測される胃がんの原因は細菌かもしれないNature Medicine
-
7月3日
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature