注目の論文
ハンチントン病におけるグリア細胞の機能不全
Nature Neuroscience
2014年3月31日
Glial dysfunction in Huntington’s disease
脳内のグリア細胞の一種、アストロサイト(星状膠細胞)に存在する特定のイオンチャネルの機能を正常にすると、ハンチントン病(HD)のモデルマウスでは運動機能の欠陥が改善でき、生存期間を長くできる。このような研究が、今週のオンライン版に報告されている。
HDは常染色体優性様式の疾患で、ハンチンチンという遺伝子に生じた突然変異により引き起こされる。これは進行性の神経変性疾患で、運動と認知の欠陥を特徴とする。線条体という脳領域はHDにおいてとりわけ影響を受けやすく、その場合には線条体の中間有棘細胞(MSN)の機能不全および死という特徴が現れる。この神経細胞は運動の開始や協調に重要な関わりを持つ。ところが、哺乳類脳にみられる最も豊富な非神経細胞の一種、アストロサイトがHDにおいて果たす役割は明らかではない。Baljit Khakh、Michael Sofroniewたちは、HDのいくつかのモデルマウスで、変異型ハンチンチンを持つアストロサイトはKir4.1というカリウムチャネルの発現量が減少しており、細胞外でイオン分布の混乱を引き起こすことを発見した。Khakhたちは、このイオン不均衡がMSNの興奮性を増加させると指摘している。研究チームが人工的にアストロサイトのKir4.1を増加させると、HDモデルマウスでみられる歩行運動の欠陥および早死が部分的に軽減されることが分かった。
この研究は、HDに関する新しい治療標的の可能性を明らかにしており、非神経細胞がこの疾患の病理に大きな影響を与えることを示唆している。
doi: 10.1038/nn.3691
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