注目の論文
【遺伝子治療】血友病Aを発症したイヌの症状改善
Nature Communications
2013年11月20日
Gene therapy: Correcting haemophilia A in dogs
遺伝子治療によって、出血性疾患の一種である血友病Aを発症したイヌの治療に成功したことを報告する論文が、今週掲載される。こうして治療されたイヌは、2年半にわたって重症の出血を起こさなかった。この大型動物モデルを用いた研究で、血液細胞を標的とする遺伝子治療による血友病Aの症状改善が初めて実証され、重度の血友病Aにかかったヒトに対する臨床応用に向けた一歩前進となった。
血友病Aは、遺伝性の出血性疾患で、血液凝固タンパク質(第VIII因子)の欠損に関連しており、男性1万人に1人が発症している。今回、David Wilcoxたちは、ウイルスを用いて、血友病Aを発症したイヌに正常な第VIII因子の遺伝子を導入した。この遺伝子治療に関して、Wilcoxたちは、治療法の変種を3頭のイヌで検証したところ、血小板において第VIII因子が産生され、保存された。このことは、これまでイヌでは実現されていなかった。また、Wilcoxたちは、遺伝子治療後の第VIII因子の産生量が最も多かった2頭のイヌの場合、治療後のフォローアップ期間中(約2年半)に重度の出血がなかったことも報告している。3頭のイヌには、遺伝子治療後最大90日間にわたって免疫抑制剤が投与されたが、いずれにおいても第VIII因子に対する抗体が産生されなかった。この抗体が生じると、今回実施された遺伝子治療の有効性が妨げられる可能性があった。
doi: 10.1038/ncomms3773
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