注目の論文
がん治療:2段階プロセスで腫瘍を狙い撃つ
Nature Communications
2013年11月6日
Cancer therapy: Tumour targeting in two steps
薬物をがん組織に選択的に投与するために用いる多用途の化学的標識について報告する論文が、今週掲載される。この標識は、原理的には、さまざまな既存の抗がん剤に結合させ、異なる種類の腫瘍関連酵素による2段階の過程で取り外すことができ、これによって抗がん療法の有効性を高められる可能性がある。
この化学的標識を取り外して薬物を放出するためには、2種類の酵素が必要で、この過程が、主にがん細胞で起こることをNobuhide Uekiたちが報告している。その1つであるヒストンデアセチラーゼは、アセチル基をタンパク質から除去することで遺伝子発現を調節し、腫瘍内で活性化していることが多い。もう1つのカテプシンLは、腫瘍の進行と転移と結びついていると考えられてきた。ヒストンデアセチラーゼによって化学的標識からアセチル基が取り外されると、1つの結合部位が露出し、この結合部位によって、その後にカテプシンLによる切断が起こるのだ。Uekiたちは、大腸がんの動物モデルを用いて、この化学的標識を抗がん剤ピューロマイシンに結合させる実験を行い、標識されたピューロマイシンの方が、標識されていないものよりも腫瘍増殖の阻害効果が高いことを明らかにした。
doi: 10.1038/ncomms3735
注目の論文
-
9月18日
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
9月18日
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
9月18日
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature
-
9月18日
古生物学:初期のドーム頭を持つ恐竜Nature
-
9月17日
健康:長期的なコロナウイルス感染症の後遺症は月経障害と関連するNature Communications
-
9月17日
気候変動:温暖化が熱帯地域の土壌からの二酸化炭素排出を増加させるNature Communications