注目の論文
【遺伝】絶滅するヨウスコウカワイルカに関する新情報
Nature Communications
2013年10月30日
Genetics: New information about an extinct dolphin
ヨウスコウカワイルカ(Lipotes vexillifer、baiji)のゲノム塩基配列が解読された。今回の研究による特筆すべき成果は、このイルカの水中生活への適応に関与した可能性のある遺伝子の同定であり、この遺伝子は、このイルカが最近、機能的に絶滅した理由を説明できるかもしれない。
4種の既知のカワイルカの1つであるヨウスコウカワイルカは、機能的に絶滅したと認定され、人間の活動によって絶滅に追い込まれた最初のクジラ類の動物と考えられている。今回、Guang Yangたちは、雄のヨウスコウカワイルカのゲノム塩基配列を解読し、さらに、ヨウスコウカワイルカのゲノム3点のリシーケンシングを行って、クジラ類の進化適応と最近のヨウスコウカワイルカの個体群減少の遺伝的基盤の解明を進めた。
Yangたちは、ヨウスコウカワイルカと他の哺乳類との遺伝的な比較解析を行うことで、水中生活(例えば、嗅覚、味覚、視覚、聴覚と脳の拡張)にとって重要な遺伝子の進化を示す証拠を得た。1万年前に集団ボトルネックが生じたことを示す証拠が存在するが、今回の研究の結果は、ヨウスコウカワイルカの最終的な絶滅が遺伝的影響によるものではなく、したがって、揚子江での人間活動による干渉の負の影響が関係していることを示唆している。今回の研究で、水生哺乳類の進化と保全の研究にとって貴重な情報資源がもたらされた。
doi: 10.1038/ncomms3708
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature