【遺伝】アシュケナージ系ユダヤ人の母方の系統の起源がヨーロッパである可能性が浮上
Nature Communications
2013年10月9日
Genetics: Ashkenazi maternal lineages may originate in Europe
アシュケナージ系ユダヤ人のミトコンドリアDNAの塩基配列解読が行われ、ユダヤ人の母方の系統がヨーロッパ起源である可能性が明らかになった。これまでに、中近東やコーカサス地方を起源とする学説が表明されていたが、むしろヨーロッパ地中海地方であることが、今回の研究で示唆されている。
アシュケナージ系ユダヤ人の起源をめぐっては激しい論争が繰り広げられている。父系遺伝するY染色体、母系遺伝するミトコンドリアと両親から遺伝する常染色体に関する遺伝情報を用いて祖先との関係を推定する研究が行われたが、相矛盾する結論が示されていた。主に中近東(イスラエル/パレスチナ、レバノン、シリア、ヨルダンを含む領域)の人々を祖先とする見解があった一方で、主にコーカサス地方の人々が祖先だとする見解もあったのだ。
今回、Martin Richardsたちは、74点のミトコンドリアゲノムの塩基配列解読を行い、ヨーロッパ、コーカサス地方と中近東に由来する3,500点以上のミトコンドリアゲノムの解析を行い、アシュケナージ系ユダヤ人の詳細な系統史を再現した。その結果、Richardsたちは、アシュケナージ系ユダヤ人のミトコンドリアDNAの変異の少なくとも80%が、中近東やコーカサス地方ではなく、先史時代のヨーロッパの系統を受け継いでいることを明らかにした。この結果は、アシュケナージ系ユダヤ人の女性が、約2,000年前には、ヨーロッパに同化していた可能性を示唆している。
Richardsたちは、ヨーロッパの地元の女性が動員されて、改宗したことがアシュケナージ系ユダヤ人コミュニティーの形成にとって重要だったことが今回の研究結果で浮き彫りになり、今回の研究がアシュケナージ系ユダヤ人の系統史の再構築にとっての重要な一段階となったと考えている。
doi: 10.1038/ncomms3543
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