注目の論文
既存のT細胞応答が、インフルエンザに対する防御になる
Nature Medicine
2013年9月23日
Pre-existing T cell responses protect against influenza
自然にインフルエンザに関連したヒトでは、感染前から存在するインフルエンザウイルス特異的なCD8+ T細胞が、インフルエンザにともなう症状の軽減に関係している事が明らかになった。この知見から、T細胞応答の強化をねらったインフルエンザワクチン開発が有効なことが示唆される。
インフルエンザに対するワクチンは、強力だが短期的な抗体応答を誘導するが、この応答には、ワクチンに含まれていないウイルス株を中和する能力がないことが多い。そのため、2009H1N1パンデミックに見られたように、このワクチンでは新しく出現したインフルエンザ株は標的にならず、感染が広がることになって重大な結果をもたらす可能性がある。体内で作られる、もっと寿命の長い交差反応性CD8+ T細胞が、インフルエンザの自然感染後に、ウイルス特異的な抗体がなくても、発症を防ぐ役割を果たすかは、それほどはっきり分かっていなかった。
Ajit Lalvaniたちは、2009パンデミックウイルス(pH1N1)に感染したヒトのCD8+ T細胞応答を解析し、pH1N1に対する中和抗体がなくても、良く保存されているウイルスペプチドに対して特異的な既存のCD8+ T細胞の存在が、症状の軽減と鼻からのpH1N1の排出減少に結びつくことを発見した。この知見が示すように、毎年の季節性インフルエンザだけでなく将来のパンデミックから身を守るためには、抗体応答に加え、交差反応性CD8+ T細胞の発生を促進する、新しいインフルエンザワクチンを目指すべきだ。
doi: 10.1038/nm.3350
注目の論文
-
9月12日
環境:アマゾン先住民の領域が人間の健康に恩恵をもたらすCommunications Earth & Environment
-
9月12日
動物学:タコはあらゆる作業に最適な腕を前面に出すScientific Reports
-
9月11日
古生物学:トカゲのような生物の起源をさらに遡るNature
-
9月11日
環境:2023年のカナダ山火事の長期的な影響を評価するNature
-
9月10日
健康:大麻の使用は女性の生殖能力に影響を与えるかもしれないNature Communications
-
9月9日
気候変動:気温の上昇が添加糖の消費量の増加と関連しているNature Climate Change