注目の論文
グルコース輸送とがん細胞
Nature Neuroscience
2013年9月2日
Glut-tonous Cancer Cells
脳のがん幹細胞は、細胞内へグルコースを取り込むタンパク質の発現を増加させて脳内の限られた栄養を巡る競争に競り勝てるよう、自身の能力を改善する。今週オンライン版に掲載されるこの研究は、比較的栄養の乏しい脳内でこれら幹細胞が生き残り増殖できる仕組みについての洞察をもたらし、この種のがんに対する治療法の発展に向けた将来の試みに影響を与える可能性がある。
多形神経膠芽腫(GBM)は成人の脳腫瘍のうち、最もよく見られ、致死的なものである。多くのがんがそうであるように、GBMの腫瘍細胞は極めてエネルギー要求性が高い。ところが、脳内にはグルコースの形態のエネルギーはごく限られた量しか存在せず、腫瘍細胞はそれを巡って競争している。
Jeremy Richらは、脳腫瘍開始細胞(BITC)とよばれる腫瘍を形成するがん幹細胞の生き残りを、栄養制限が増加させると報告している。それに加えて著者らは、BITCはグルコース輸送体のイソ型のうち3型(すなわちGlut3)の発現を増強していることを発見した。Glut3は、細胞がグルコースをいちだんと効率よく取り込むようにするタンパク質である。しかし、マウスでこれら細胞のGLUT3遺伝子の発現を阻害すると、BITCの増殖と腫瘍の進行が減少することを、著者らは発見した。さらに、GLUT3の発現量はGBMの重篤度と患者の予後に関連することを見いだした。
doi: 10.1038/nn.3510
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