注目の論文
【自然の設計】ムール貝のひげを抜くには
Nature Communications
2013年7月24日
Natural design: How to pull a mussel
船底や海岸の岩場に張り付いたムラサキイガイは、激しい波の衝撃を受けても剥がれない。なぜなのか。この謎は、長年にわたって解明されていなかったのだが、このほど、ムラサキイガイの足糸の材質分布が巧妙にできているため、押し寄せる波のエネルギーを吸収できることが明らかになった。これは、人工構造物の新たな設計戦略となる可能性がある。
ムラサキイガイ(ムール貝)の足糸は、料理人の間で「ひげ」として知られ、それを抜かなければ調理できない。ムラサキイガイは、足糸によって、いろいろな物体表面にしっかりと付着できる。ただし、物体表面に対する付着強度と足糸自体の強度のいずれもが波の衝撃波力を下回っているため、ムラサキイガイが付着状態を維持する機構がわからなかった。ムラサキイガイの足糸は、強力なエネルギー吸収を可能にして、波の力を緩和しているのだが、今回、Markus Buehlerたちは、この足糸から特異な構造原理と複合材設計原理を見つけ出した。
このように効率的だが単純な構造は、エネルギー吸収が必要とされる人工的設計を生み出すために応用できることが明らかで、その一例として、地震多発地域での構造物の設計が考えられる。
doi: 10.1038/ncomms3187
注目の論文
-
4月19日
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
4月18日
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
4月18日
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
4月17日
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
4月16日
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change
-
4月16日
医学研究:一部の患者では、抗体がパーキンソン病の運動機能症状の進行を遅らせる可能性があるNature Medicine