注目の論文
【神経科学】アミロイドβ除去に関与する受容体とアルツハイマー病治療
Nature Communications
2013年6月26日
Neuroscience: Receptor to (amyloid) beta Alzheimer’s disease?
アルツハイマー病に伴う脳内でのプラークの蓄積が、特定の受容体の欠損によって加速することが明らかになり、この受容体が、アルツハイマー病の治療法開発における有望な標的となる可能性が示唆されている。
アルツハイマー病は、欧米での認知症の最も一般的な形態の1つで、脳内でのアミロイドβプラークの沈着が、この疾患の進行の重要な要因の1つとして、かなりの関心を集めている。今回、Joseph El Khouryたちは、このプラークの除去に関与すると考えられる受容体を同定するための遺伝的スクリーニングを行って、体内からの感染性病原体の除去に関与することが知られている受容体Scara1を1つの候補として明示した。また、Khouryたちは、アルツハイマー病のマウスモデルを用いて実験を行い、薬理学的にScara1の発現を上昇させると、神経変性作用をもつ可能性のあるプラーク成分の除去が亢進することを明らかにした。
今回の研究はマウスによる研究だったが、Khouryたちは、遺伝的スクリーニングと似た方法で、低分子と薬物のライブラリーのスクリーニングを行うことで、この種の受容体の発現を上昇させる新しい化合物が同定され、それがアルツハイマー病の治療に利用されるようになることを期待している。
doi: 10.1038/ncomms3030
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