注目の論文
【進化】雌のキマエホソバは雄の「本物の」求愛歌を認識できる
Scientific Reports
2013年6月20日
Evolution: Female lichen moths see through males’ ultrasonic serenades
雌のガが交尾相手候補の超音波の「求愛歌」とコウモリの反響定位鳴声を区別できるかどうかは、ガの種類によって異なるという見解が発表された。今週掲載される論文は、ガの詐欺的な性的コミュニケーションと本物の性的コミュニケーションの進化に関する新たな手がかりをもたらしている。
ガにおける超音波の交尾シグナルは、コウモリの反響定位鳴声への感覚的偏りという防御機構を利用して進化してきたと考えられている。ガは、音調を区別できないため、パルスの持続時間、間隔、強度といった情報を使って聴覚信号を解釈している。今回、中野亮(なかの・りょう)たちは、無関係な2種のガ(キマエホソバとアワノメイガ)に関する研究を行い、雌のキマエホソバは、コウモリの反響定位鳴声と交尾相手候補の超音波の求愛歌を区別できるが、雌のアワノメイガは区別できないことを実証した。雌のアワノメイガの場合、雄の求愛歌があると、コウモリを避けるためのすくみ行動応答が起こり、雄は交尾を達成しやすくなる。この場合、雌は、求愛歌に騙されていることになる。一方、雌のキマエホソバは、「本物の」求愛歌によって交尾相手を認識している。
雄が性的状況でたまたま発した音をきっかけとし、それを区別できる雌と区別できない雌がいることで、本物の求愛歌と詐欺的な求愛歌が進化したことが、今回の研究で示唆されている。
doi: 10.1038/srep02003
注目の論文
-
7月18日
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
7月18日
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
7月17日
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature
-
7月17日
経済学:移民と現地人の賃金格差に対処するNature
-
7月16日
神経科学:老化と神経変性疾患のバイオマーカーを解明するNature Medicine
-
7月15日
健康:健康な高齢化における世界的な格差の要因の評価Nature Medicine