注目の論文

卵巣がんと乳がんに関連する遺伝的多型

Nature Genetics

2010年9月20日

Variants associated with ovarian and breast cancer

卵巣がんと乳がんに関連する遺伝的多型について報告する3つの研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。乳がんと卵巣がんに関しては、いくつかの共通のリスク因子があることが知られており、これら3つの研究では、1つの共通の感受性座位が新たに同定された。

S Gaytherらは、卵巣がんのゲノムワイド関連解析を行った。10,283例の卵巣がん症例(そのほぼ半数が漿液性卵巣がん)を4つの主要な組織学的サブタイプに分類し、漿液性卵巣がんに関連する2つのゲノム領域を新たに同定した。

一方、P Pharoahらは、8,951例の卵巣がん症例を対象としたゲノムワイド関連解析について報告している。この解析では、19番染色体上の1つのゲノム領域において漿液性卵巣がんに関連する遺伝的多型が同定された。この座位は、BRCA1遺伝子と相互作用するMERIT40遺伝子の近くにある。BRCA1遺伝子の変異は、女性の乳がんと卵巣がんのリスク因子であることが確立されている。さらに、F Couchらは、このリスクに影響する可能性のある遺伝的因子を探索するため、BRCA1変異を保有する浸潤性乳がん患者1,193人と健常者1,190人を対象とした乳がんのゲノムワイド関連解析を行い、別の5,986人のBRCA1変異を保有する者(乳がん患者と健常者)で追試を行い、当初の解析結果を再現した。その結果、一般集団中の乳がん高リスクの女性と特定のサブタイプの乳がんにおいて、乳がんに関連する1つのゲノム領域を19番染色体上に同定した。このゲノム領域は、Pharoahらが卵巣がんに関連するゲノム領域と報告したものと同じである。

doi: 10.1038/ng.668

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