注目の論文
うつ病モデルとしての社会的隔離
Nature Neuroscience
2009年1月19日
Social isolation as a model of depression
長期間社会的に隔離されていたげっ歯類は、不安症や、満足を感じとる機能の不全を示すことが、Nature Neuroscience(電子版)に報告された。このうつ状態に似た症状は抗うつ薬で治療でき、薬物療法で不安症状が抑えられる仕組みについて新たな情報が得られている。
E Nestlerらは、ケージに単独で飼育され、社会的相互作用を断たれているラットやマウスが、異常な性行動をとったり、砂糖水を好まなくなったり、不安行動をとったるするなど抑うつ行動をあらわすことを見つけた。この長引くストレスは、CREBとよばれる側坐核shellの重要なタンパク質の活性を低下させることもわかった。側坐核shellは、ヒトの動機づけ刺激や情動刺激に応答する脳領域として知られる。三環系抗うつ薬で長期間治療したところ、このような行動を回復でき、CREB濃度が元に戻ったが、短期間の治療ではだめだった。
この研究は長期の社会的隔離に基づくうつ状態の動物モデルとなるだけでなく、抗うつ薬治療により不安症状が緩和される過程の新たな機構を与えるものである。
doi: 10.1038/nn.2257
注目の論文
-
4月25日
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
4月24日
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
4月22日
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
4月17日
神経学:パーキンソン病に対する幹細胞治療の安全性を臨床試験によって実証Nature
-
4月15日
生体医工学:視覚障害者の移動を支援するウェアラブルAIシステムNature Machine Intelligence
-
4月15日
健康:テクノロジーの活用が高齢期の認知機能低下リスクを軽減するかもしれないNature Human Behaviour