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動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中

Scientific Reports

2025年10月10日

Animal behaviour: Dogs pawsitively hooked on toys

Scientific Reports

105頭の犬を対象とした研究によると、一部の犬は、ギャンブルやインターネットゲームなど、人間の行動依存症に似た行動をおもちゃに対して示すことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。

人間の行動依存症は、悪影響があるにもかかわらず、その活動に強迫的に没頭する特徴がある。これまで、犬がおもちゃに対して依存的な行動を示すという事例報告はあった。たとえば、おもちゃが届かないと鳴き声を上げたり、過度の疲労や怪我にもかかわらず遊びを続けたりする。しかし、本研究は犬におけるこうした行動を科学的に評価した初めての発表である。

Stefanie Riemer(ウィーン獣医大学〔オーストリア〕)、Alja Mazzini(ベルン大学〔スイス〕)らは、これまでの研究に基づき、人間の行動依存症に共通する症状、たとえば渇望を経験する、行動を止めたり制御したりするのが難しいなどを特定した。次に、飼い主から「おもちゃで遊ぶ意欲が高い」と評価された56頭の雄犬と49頭の雌犬が、試験開始時に自ら選んだおもちゃに対して示す行動をこれらと比較した。犬の年齢は、12ヶ月から10歳までで、最も多かった品種はマリノア(18頭)、ボーダーコリー(9頭)、およびラブラドール・レトリーバー(9頭)であった。著者らは、飼い主に対し、愛犬の日常的なおもちゃへの行動についても調査を実施した。

研究者らは、33頭の犬が依存的な行動を示したと報告している。具体的には、おもちゃへの過度な執着、食物や飼い主との遊びなどおもちゃ以外の選択肢への興味の欠如、おもちゃが利用できない状況での執拗な入手試行、およびすべてのおもちゃが撤去された後も15分間落ち着かない状態が続くことなどが含まれる。おもちゃが利用できない状態では、これらの犬はより長時間おもちゃに集中し、入手しようと試み、および食物摂取や飼い主との交流よりもおもちゃへのアクセスを優先する傾向が見られた。

著者らは、犬が過剰におもちゃと関わる理由や、これが福祉に悪影響を及ぼす可能性を解明するにはさらなる研究が必要であると指摘している。

Mazzini, A., Senn, K., Monteleone, F. et al. Addictive-like behavioural traits in pet dogs with extreme motivation for toy play. Sci Rep 15, 32613 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-18636-0
 

doi: 10.1038/s41598-025-18636-0

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