注目の論文
熟練したウイルスによる悪用
Nature Immunology
2010年4月5日
Exploitation by an expert virus
HIV-1ウイルスが、自己の複製を進めるために免疫細胞の情報伝達系を利用することが明らかになった。この発見で見つかったのはHIV-1の弱点の1つである可能性があり、ここを突けば、HIV-1にさらされてからすぐに感染の確立を食い止められるかもしれない。
HIV-1はエイズの原因となるウイルスで、抗原提示細胞である樹状細胞(DC)は、このウイルスをとらえると、粘膜の侵入部位からリンパ節へと運ぶ。そこで豊富に存在するCD+細胞へと渡すが、この細胞はHIV-1が好む宿主細胞なのである。T Geijtenbeekたちは、HIV-1が感染の初期段階では、DCのもつ2つの情報伝達経路を利用して自己の複製を促進することを明らかにした。1つの経路はウイルスをとらえる表面受容体DC-SIGNから始まる経路で、これが引き金となってNF-κBとよばれる重要な転写因子が活性化される。もう1つの経路は脱殻とHIV-1ウイルスゲノムの捕捉が引き金となるもので、細胞内核酸センサーによりシグナルが出され、RNAPIIとよばれる宿主タンパク質のリン酸化につながる。ウイルスの複製初期に必要なウイルスゲノムの完全長コピーをRNAPIIが作るには、2つの情報伝達が両方とも必要であり、どちらか一方の経路を阻害することにより、DC内でのHIV-1感染確立とT細胞への伝達が阻害された。
doi: 10.1038/ni.1858
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