注目の論文
脳卒中に一撃
Nature Medicine
2009年11月23日
A stroke against stroke
脳血管障害でのニューロン損傷につながる新しい細胞機構の報告が寄せられている。この機構を標的にすれば、ヒトの脳血管障害の治療法になるかもしれない。
脳血管障害後のニューロン死の主な原因は、脳の興奮性受容体が過剰に活性化されることによる損傷である。このような受容体の中で特にカギを握るのが、いわゆるNMDA型グルタミン酸受容体である。Y T Wangたちは、マウスの脳血管障害でのNMDA型受容体を介したニューロン死にはSREBP-1とよばれる分子の活性化が不可欠なことを明らかにした。
ニューロンでSREBP-1の活性化には、SREBP-1の結合相手として知られるInsig-1の消失が関係するという。Wangたちが、Insig-1の消失を阻害する化合物を用いることによってマウスの脳血管障害後のSREBP-1活性化を妨げたところ、ニューロンの損傷が軽減され、神経障害を避けることができた。この研究により、SREBP-1の活性化を抑える薬が脳血管障害の治療に役立つ可能性が浮き彫りになった。
doi: 10.1038/nm.2064
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