注目の論文
統合失調症に関与するゲノム領域
Nature Genetics
2009年10月26日
A genetic region implicated in schizophrenia
ヒト16番染色体上の特定のDNA配列の重複が、統合失調症に関連していることが、Nature Genetics(電子版)に掲載される論文で明らかにされている。過去の研究では、これと同じDNA配列の欠失と重複が自閉症スペクトラム障害に関連するという見解が示されていた。
統合失調症は、全世界で約2,400万人が罹患している重篤な精神疾患で、現実感のゆがみを特徴とする。一般的な症状としては、幻覚、妄想、解体した会話、認知処理の障害がある。
コールド・スプリング・ハーバー研究所(米国ニューヨーク州)のJ Sebatらは、約2,000人の統合失調症患者を対象として、ヒト16番染色体上の単一の領域を解析し、この患者集団の0.63%について領域内の微小重複を発見した。これに対して、統合失調症にかかっていない約4,000人の集団においては、この微小重複はわずか0.03%にしかみられなかった。この領域での重複には28個の遺伝子がかかわっており、その多くは、神経発達で役割を担っている可能性があり、統合失調症のリスクが14.5倍高まることに関連している。
また、Sebatらのデータと4種類の一般公開データセットを総合的に解析したところ、この重複が統合失調症と双極性障害に関連しており、これと相反する欠失が自閉症スペクトラム障害に特異的に関連していることがわかった。
doi: 10.1038/ng.474
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