注目の論文
がんにおける繊毛の2つの役割
Nature Medicine
2009年8月24日
Cilia's dual role in cancer
繊毛は、腫瘍がどのように発生したかによって、腫瘍の増殖を促進したり、抑制したりすることが明らかになった。
一次繊毛は、多くの種類の細胞の表面から伸びている特殊な付属肢で、細胞シグナル伝達に関与すると考えられてきた。また、一次繊毛は、胎児の発生期において、ヘッジホッグタンパク質が仲介するシグナル伝達経路に対して極めて重要な働きをする。ヘッジホッグは、がんにも関与すると考えられてきたため、J Reiterの研究チームとA Alvarez-Buyllaの研究チームは、一次繊毛が腫瘍形成に寄与する可能性を調べた。
2つの研究チームは、基底細胞がんと髄芽種という2種類のがんを調べて、繊毛が、マウスにおける腫瘍形成を助長する場合と阻害する場合があることをそれぞれ独自に発見した。もしHedgehogの活性化因子として有名なSmoothenedの発現によって腫瘍が発生した場合には、繊毛を除去すると、腫瘍形成は抑制された。しかし、Hedgehogの下流で働くGli2分子の発現によって腫瘍が発生した場合には、繊毛を除去すると、腫瘍の増殖が促進された。
以上のデータは、がんとの関係で、繊毛が2つの役割を果たすという意外な結果を明らかにした。繊毛の役割をさらに解析すれば、腫瘍の発生と治療に関する理解が深まると思われる。
doi: 10.1038/nm.2011
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