注目の論文

簡単に作れる微小チューブ

Nature Chemistry

2009年3月2日

Microtubes made easy

Nature Chemistry(電子版)に発表される研究によると、直径が1マイクロメートルから10分の1ミリメートルを少し超えるくらいの微小チューブを、水中に浸漬させた無機結晶から成長させることができる。成長過程を制御することによってチューブネットワークを形成できる可能性があり、このようなネットワークがデザイナー・マイクロ流体(いわゆるラボ・オン・ア・チップ)デバイスの作製に役立つことが証明されるかもしれない。 L Croninらは、ポリオキソメタレート(金属と酸素原子からなる大きなクラスター)として知られる無機化合物の結晶を、正電荷をもつ有機分子が含まれた水の中に浸漬させている。ほんの数秒で各結晶からチューブ状の構造体が成長し始めるが、チューブの成長方向は、成長進路に物体を配置することによって、あるいは、溶液に電圧をかけることによって制御できる。このようにして、チューブは互いに成長・合体して分岐接合部を作る。チューブに蛍光色素を流すことにより、Croninらは、それらの構造体が中空であり、漏れがないほど丈夫であることを実証している。 成長中のチューブの直径は、水中に溶解した荷電分子の量または種類を変えることによって、調節可能である。さらに、微小チューブを成長させる方法はかなり一般的なものであり、一連のさまざまなポリオキソメタレートが使用可能である。これにより、チューブの化学的特性の調整が可能になり、溶液流の方向付けばかりでなく、触媒反応やセンシングなどの応用向けに、溶液と化学的に相互作用可能なマイクロ流体チャネルが得られるようになるかもしれない。

doi: 10.1038/nchem.113

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度