注目の論文
抑制役を抑制
Nature Immunology
2009年6月1日
Suppressing suppressors
制御性T細胞の生成と機能を阻害する阻害性情報伝達回路を発見したとの報告が寄せられている。
制御性T細胞は、望ましくない免疫反応を抑制することによって、糖尿病などの自己免疫疾患の発症を防いでいる。
H Chiたちは、受容体S1P1がこの制御性T細胞の重要な阻害因子であることを明らかにした。S1P1をもたないマウスでは制御性T細胞数が増加し、しかもその抑制機能が強い。逆にS1P1を過剰に発現するマウスは、制御性T細胞数が著しく低下するために、自己免疫疾患を発症する。
今回の知見は非常に重要な意味をもつ可能性がある。現在、別の理由でS1P1を操作する試みが行われているからである。今回の研究により、S1P1が果たすとされる機能の幅がさらに広がり、この受容体を介した情報伝達に制御性T細胞が特異な感受性を示すことが明らかになった。
doi: 10.1038/ni.1743
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