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【生物工学】湿潤な創傷に適した新しい絆創膏は寄生虫がヒント
Nature Communications
2013年4月17日
Biotechnology: Parasitic worm inspires better bandages for wet wounds
宿主の組織に機械的に係留する寄生虫に着想を得て、化学物質を用いない貼付剤が開発された。この貼付剤は、湿潤条件下で、化学物質を用いた現行の貼付剤よりもかなり強力に結合し、絆創膏の性能を高める可能性を秘めている。
絆創膏は、濡れた皮膚にくっつきにくい。絆創膏に不可欠な化学接着剤の効果が、水によって大きく損なわれるからだ。今回、Jeffrey Karpたちは、この問題を克服するため、水との接触で膨潤するヒドロゲルでできた微細な針を数千本並べて作った貼付剤を開発した。こうした微細針を被覆した絆創膏を湿った生体組織に押しつけると、針が組織の表面を貫通し、膨潤して、生体組織と物理的に結合した状態が形成される。Karpたちは、内部寄生虫Pomphorhynchus laevisから発想を得て、この貼付剤を開発した。P. laevisは、針に似た長い口吻を宿主の腸壁に突き刺し、口吻の根元にある筋肉を使って、口吻を球状に膨潤させるのだ。
Karpたちは、今回開発された貼付剤をさまざまな動物の組織で検証して、従来の絆創膏よりかなり優れた性能であることを報告している。その接着強度は、移植された皮膚を固定するために用いられる外科用ステープルの3倍以上だった。Karpたちは、微細針に治療薬を仕込む方法で、薬剤の局所的投与ができるようになると考えている。
doi: 10.1038/ncomms2715
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