注目の論文
裏返しの抗ウイルス剤
Nature Medicine
2008年11月24日
Inside-out antivirals
細胞膜の内側に通常存在する特定の脂質分子を標的にすることが、ウイルス性疾患の治療法になる可能性があるとの報告が寄せられている。
個々のウイルスを標的にするのではなく、感染細胞上に広く発現される分子を標的にするという方法をとれば、多種類のウイルスに対抗できる治療法が実現するかもしれない。P Thorpeたちは、ウイルスの複製の際に起こる出来事、例えば感染細胞が死ぬ直前に起こる変化によって、通常なら細胞膜の内側表面に存在するリン脂質が細胞外に露出する可能性があると考えた。
そこで、ピチンデウイルスが感染した細胞に、露出する可能性のあるリン脂質分子を標的とする特異的抗体バビツキシマブを投与して調べた。ピチンデウイルスは、生物テロに利用される恐れのあるラッサ熱ウイルスのモデルとして使われている。その結果、感染によってリン脂質が露出すること、バビツキシマブ投与によってラッサ熱ウイルスが致命的感染したモルモットが回復することがわかった。また、サイトメガロウイルスが致命的感染したマウスでも、バビツキシマブによる同様の治療効果が認められた。これらの結果は、抗ウイルス薬開発の新戦略を示している。
doi: 10.1038/nm.1885
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature