注目の論文

多発性硬化症のリスクに対するニューロンの寄与

Nature Genetics

2008年11月10日

Neuronal contribution to risk of multiple sclerosis

ニューロンで特異的に発現する遺伝子の多型が、初めての多発性硬化症のリスク多型として同定されたことを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。

多発性硬化症は複雑な自己免疫疾患であり、免疫系が、神経線維を取り巻くミエリン鞘を破壊して、神経変性を引き起こす。これまで多発性硬化症のリスクを高めることが実証された遺伝子多型の数は非常に少なく、これらの多型は免疫系において機能を果たす遺伝子において見つかっている。

エラスムス・メディカル・センター(オランダ)のR Hintzenらは、オランダ人、スウェーデン人、カナダ人の多発性硬化症患者を対象とした全ゲノム関連解析を行い、KIF1B遺伝子の多型が、多発性硬化症の感受性と関連することを報告している。KIF1Bタンパク質は、運動ニューロンに多く発現し、ニューロン軸索に沿った細胞成分の輸送に関与するタンパク質ファミリーに属している。この軸索輸送は、一般に神経変性疾患に関与すると考えられてきており、Hintzenらは、軸索輸送の異常が、多発性硬化症の発生と進展にも寄与している可能性を示している。

doi: 10.1038/ng.251

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