注目の論文
病原体応答の妨害
Nature Immunology
2012年5月21日
Pathogen response interference
ウイルス感染の際には、インターフェロン(抗ウイルス応答の主要なメディエーター)の生産につながる免疫経路の活性化によって、細菌感染と闘うのに重要なサイトカインの1つ、インターロイキン12(IL-12)の生産が阻害されることが明らかになった。
受容体にはさまざまな種類があって、侵入中の病原体に対する特異的な免疫メディエーターを活性化する。これらの受容体によって活性化される情報伝達経路は、協調、相補、補償など、さまざまな形で相互作用することが知られている。谷口維紹たちは、抗ウイルス応答の際に誘導される転写因子でインターフェロンの生産に不可欠なIRF3が、IL-12をコードする遺伝子の転写を直接阻害することを明らかにした。この観察結果と良く符合するように、マウスではウイルス感染によって細菌に対する免疫応答が減衰し、通常なら致死量に満たない量の細菌を投与しても、死亡率が上昇することがわかった。このような阻害性相互作用には、抗ウイルス応答の際に宿主を過剰な炎症から守るという利点があるのかもしれないが、複数の病原体が同時感染した場合には、マイナスに働く可能性がある。
doi: 10.1038/ni.2307
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