注目の論文
クラミジアのゲノム塩基配列解読
Nature Genetics
2012年3月12日
Chlamydia genome sequencing
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の全ゲノム塩基配列解読について報告する論文が、今週、Nature Genetics(電子版)に掲載される。C. trachomatisは、世界で最も多く見られる性感染症の一つと失明の主な感染性原因である眼の感染症を引き起こすヒト病原体だ。 今回、S Harrisたちは、53菌株のC. trachomatisの全ゲノム塩基配列の比較ゲノム解析を行った。これらの菌株は、1959〜2009年の流行時に単離されたもので、臨床株の多様性を反映するように53菌株が選び出された。Harrisたちは、この塩基配列データセットを用いて、これまでより正確なC. trachomatisの全ゲノム系統樹を作成した。今回の解析は、C. trachomatisの進化史の再構築を可能にすると同時に、疫学的感染を監視し、C. trachomatisの集団構造と菌株の多様性を解明するうえでも重要な意義がある。 また、Harrisたちは、主要外膜タンパク質をコードするompA遺伝子の遺伝子型解析に基づくC. trachomatisの単一遺伝子診断法という従来用いられてきた方法が、系統分類や遺伝的類縁性の推定にある程度しか役立たないとし、系統分類の精度を高めるためには、ゲノム全体にわたって、もっと多くの座位の遺伝子型判定を行う必要があるという考え方を示している。
doi: 10.1038/ng.2214
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