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医学:遺伝的差異がGLP1治療の転帰に影響を与えるかもしれない

Nature

2026年4月9日

Medicine: Genetic differences may influence GLP1 treatment outcomes

Nature

食欲や消化を調節する腸ホルモン経路に関与する2つの遺伝子の変異は、グルカゴン様ペプチド1(GLP1:glucagon-like peptide 1)系薬剤を服用した際の減量効果や副作用の個人差を部分的に説明できる可能性がある。Nature にオープンアクセスで掲載されるこの発見は、遺伝情報を活用して肥満治療の選択を最適化しようとする今後の取り組みを後押しするかもしれない。

セマグルチド(semaglutide;商品名オゼンピック〔Ozempic〕)やチルゼパチド(tirzepatide;商品名マンジャロ〔Mounjaro〕)を含むGLP1受容体作動薬は、天然の腸ホルモンを模倣する医薬品である。これらの薬剤は、食欲、インスリン分泌、および消化の調節を助け、肥満治療に広く用いられるようになった。しかし、なぜ一部の人々はほかの人々よりも多くの体重を減らすのか、あるいはなぜ一部の人々が吐き気や嘔吐などの副作用を経験するのか、その理由は依然として不明のままであった。

こうした結果のばらつきに潜む遺伝的要因を探るため、Adam Autonら(23andMe Research Institute〔米国〕)は、GLP1製剤を服用している2万7885人の自己申告による23andMeデータを用いて、ゲノムワイド関連解析を実施した。著者らは、GLP1受容体の変異体rs10305420が、体格指数(BMI:body mass index)のわずかに大きな減少(0.641%の減少)と関連していることを発見した。これは、この変異体を保有する個人が、保有しない個人と比較して、対立遺伝子1つあたり約0.76キログラムの追加減量に相当する。別の変異(胃抑制ポリペプチド受容体遺伝子内のrs1800437)は、チルゼパチドを服用している人における薬剤関連の吐き気や嘔吐と関連していたが、減量量とは関連していなかった。

これらの知見は、薬剤の標的となる遺伝子における遺伝的差異が、GLP1薬に対する反応の個人差の一因となっている可能性を示唆している。ただし、著者らは、性別、年齢、および服用するGLP-1薬の種類など、いくつかの非遺伝的要因も治療成績と強く関連しており、これらが減量効果の重要な予測因子であり続けていると指摘している。遺伝的要因の影響は、限定的であると考えられ、将来的に遺伝情報が臨床判断をどのように支援し得るかを理解するためには、より大規模かつ長期的なデータセットを用いたさらなる研究が必要である。

Su, Q.J., Ashenhurst, J.R., Xu, W. et al. Genetic predictors of GLP1 receptor agonist weight loss and side effects. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10330-z
 

News & Views: Genetics reveal why people respond differently to GLP-1 weight-loss drugs
https://www.nature.com/articles/d41586-026-00905-1

News: Why obesity drugs work better for some people: these genes hold clues
https://www.nature.com/articles/d41586-026-01107-5

 

doi: 10.1038/s41586-026-10330-z

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