注目の論文
ナルコレプシーの危険因子
Nature Genetics
2008年9月29日
Risk factor for narcolepsy
ナルコレプシーの素因となる遺伝子多型が同定された。この成果を報告する論文は、Nature Genetics(電子版)に掲載される。ナルコレプシーの特徴は、日中に過剰な眠気を催すことと視力低下、筋力低下で、卒倒してしまうこともある。欧米では、2,500人に約1人の割合で発症するが、日本人の発症率は、この4倍以上になっている。
東京大学の徳永勝士らの研究チームは、日本人を対象とした全ゲノム関連解析を実施し、ナルコレプシーの発症リスクと有意な関連を示す1つの遺伝子多型を見いだした。この結果は、韓国人を対象とした関連解析によって裏付けられたが、ヨーロッパ系やアフリカ系の人々に対する関連解析では再現されなかった。その原因は、このリスク多型の頻度がヨーロッパ系やアフリカ系の人々においてかなり低いことである可能性が非常に高い。
このリスク多型は、ナルコレプシーに関与する遺伝子の有力候補であるCPT1B遺伝子とCHKB遺伝子の間に位置している。CPT1B遺伝子には、脂肪酸の酸化に関与する酵素がコードされており、この脂肪酸酸化は睡眠調節に関与すると考えられてきた。また、CHKB遺伝子には、細胞膜の主要な構成要素の1つの産生を触媒する酵素がコードされているが、この構成要素は、睡眠覚醒サイクルと関連付けられてきた分子の前駆体である。
doi: 10.1038/ng.231
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