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健康:超加工食品の摂取と体重減少の関係を調査する

Nature Medicine

2025年8月5日

Health: Investigating ultra-processed food consumption and weight loss

Nature Medicine

超加工食品中心の食生活は、同じ国の食事ガイドラインに従った場合でも、最小限加工食品中心の食生活に比べて、体重減少や心血管代謝疾患のリスク低減に効果的でないかもしれないことを報告する論文が、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される。この研究は、イングランドの55名の成人を対象とした地域レベル臨床試験の結果に基づき、食品の加工度合いが、全体の栄養組成を超えて、特定の健康結果に影響を与えるかもしれないことを示唆している。

超加工食品の世界的な消費量は、肥満や2型糖尿病、および心血管疾患などの慢性疾患の増加と並行して、近年急激に増加している。英国では、消費される食品の50%以上が超加工食品と報告されており、米国やヨーロッパでも同様の消費水準がみられる。例としては、朝食のシリアル、お菓子、および大量生産のパンなどがあげられる。多くの研究が、超加工食品の摂取量と健康への悪影響のリスク増加との関連性を一貫して示しているが、これらのデータは交絡因子の影響を受けやすく、因果関係を確立できない。

Samuel Dickenら(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン〔英国〕)は、「UK Eatwell Guide」と呼ばれる国家的な栄養ガイドラインに準拠した超加工食品(UPF:ultra-processed food)と最小限加工食品(MPF:minimally processed food)を比較する無作為化クロスオーバー試験を実施した。この試験には、55名の成人が参加し、8週間の期間中に自宅に配達された事前調理済みの超加工食品(朝食のシリアルやラザニアのレトルト食品など)、または事前調理済みの最小限加工食品(オーバーナイトオーツや手作りのスパゲッティボロネーゼなど)のいずれかを摂取した。4週間の休憩期間を挟んだのち、参加者はもう一方の食生活に切り替え、さらに8週間継続した。これにより、6ヶ月間の期間において、MPFとUPFの食生活の効果を参加者内比較することが可能になった。合計で50名の参加者が少なくとも1つの食生活を完了した。

著者らは、Eatwell ガイドラインに従った両方の食生活が8週間で有意な体重減少をもたらしたことを発見した。しかし、最小限加工食品の食生活は平均2%の体重減少をもたらしたのに対し、超加工食品の食生活は1%であった。体重減少を超えて、最小限加工食品の食生活は、体脂肪量、内臓脂肪、およびトリグリセライド(triglyceride;中性脂肪)値の減少など、および心代謝健康に関連する体組成の改善においてより効果的であった(ただし、低密度リポタンパク質コレステロール〔low-density lipoprotein cholesterol〕はUPFの食事後に低くなった)。全体的な食事満足度の評価には有意な差はなかったものの、参加者は超加工食品の食生活の風味と味を最小限加工食品の食生活よりも高く評価した。全体的な自己報告による食事欲求のコントロールは、UPFの食生活と比較してMPFの食生活で有意に改善され、これがMPFの食生活でのより低いカロリー摂取量と関連し、より大きな体重減少に寄与したかもしれない。

これらの結果は、健康的な食事ガイドライン内でも、食品の加工度合いが体重管理と心代謝健康に影響を及ぼすことを示唆している。著者らは、食事制限のある人(ベジタリアン、ハラル、およびコーシャの食生活など)が対象外であった点を指摘している。

Dicken, S.J., Jassil, F.C., Brown, A. et al. Ultraprocessed or minimally processed diets following healthy dietary guidelines on weight and cardiometabolic health: a randomized, crossover trial. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03842-0
 

doi: 10.1038/s41591-025-03842-0

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