注目の論文

生態学:カメラトラップがロックダウン中の動物の活動を明らかにする

Nature Ecology & Evolution

2024年3月19日

Ecology: Camera traps reveal animals lockdown activities

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のロックダウン期間中、一部の哺乳類は、開発された地域では、ヒトの活動が活発になると活動性を高め、夜行性の度を増していたことを示した論文が、Nature Ecology & Evolutionに掲載される。今回の知見は、21カ国で得られたカメラトラップデータに基づくもので、ヒトと野生動物の摩擦をいかに管理するかについての理解を深めるのに役立つ可能性がある。

ヒトの存在に対する動物の応答はさまざまであり、ヒトを脅威と捉えるものがいる一方、ヒトに保護や食物を求めるものもいるかもしれない。そうした行動は、動物とヒトの遭遇が自然生息地で起こるのか、ヒトが改変した景観の中で起こるのかによっても変化するが、さまざまな動物群間でどのように異なっているかはあまり解明が進んでいない。

今回、A. Cole Burtonらは、21カ国においてロックダウン期間の前および最中に102件の異なるカメラトラッププロジェクトで撮影された163種の哺乳類の画像を解析し、ヒトの活動性の変化に対して哺乳類の行動がどのように変化したかを調べた。その結果、哺乳類の活動性は、開発の進んだ地域(町や市など)ではヒトの活動性が高い場合に約25%高まり、開発の進んでいない地域(農村や自然生息地)では低くなることが明らかになった。ヒトの活動性が高くなった際の活動性の変化は哺乳類群によって異なり、大型草食動物では活動性が高まるが、肉食動物では活動性が低下することが分かった。例えば、雑食性のイノシシ、アメリカクロクマ、ヒグマでは、ヒトが改変した生息地での活動性が低下したことが示された。これは、これらの動物がゴミ箱や果樹から食物を得ているためと考えられ、ヒトの活動性が高い場合、そうした行動は危険な場合がある。また、Burtonらは、ヒトが改変した景観でヒトの活動性が高い場合には、哺乳類は夜行性の度を増す傾向があり、大型肉食動物がとりわけ敏感であったと指摘している。

Burtonらは、COVID-19の「anthropause(パンデミック中にヒトの活動性が低下した時期)」という特異な状況が哺乳類の行動に関する知見をもたらしたと述べており、こうした知見は、ヒトに特に敏感な種の保護を強化する野生動物管理者に有用となる可能性があるという。

doi: 10.1038/s41559-024-02363-2

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