注目の論文
エリスロポエチンは肥満も抑える
Nature Communications
2011年11月2日
Signals for obesity
赤血球の形成を調節するシグナル伝達分子「エリスロポエチン」が、脂肪量とエネルギー消費を正常レベルに維持するうえでも重要な役割を果たしていることがマウスの研究で判明した。エネルギー恒常性と脂肪細胞の生成を調節する因子を解明することは、ヒトの肥満の治療や予防のための有効な方法の開発に役立つ可能性がある。
エリスロポエチンは、赤血球の形成に必須だが、代謝恒常性における役割は解明されていない。今回、C Noguchiたちは、エリスロポエチンの受容体が、造血組織に限局されず、白色脂肪組織と視床下部でも高度に発現することを見いだした。そして、マウスの視床下部においてエリスロポエチンのシグナル伝達を乱す実験では、エネルギー消費が減少し、肥満とインスリン抵抗性が発生した。白色脂肪組織においてエリスロポエチンのシグナル伝達がない場合には、脂肪細胞数が増えており、これも肥満の一因となっている可能性がある。
今回の知見をまとめて考えると、エリスロポエチンがマウスの脂肪量を正常レベルに維持するうえで何らかの役割を果たしていることを示す証拠となっている。Noguchiたちは、エネルギー恒常性におけるエリスロポエチンの重要性を十分に解明するには、さらなる研究が必要だと考えている。
doi: 10.1038/ncomms1526
注目の論文
-
12月3日
神経科学:標的を絞った脳深部刺激が脊髄損傷後の歩行を改善するNature Medicine
-
11月29日
気候:2026年ワールドカップの開催地は、サッカー選手に熱ストレスのリスクをもたらすScientific Reports
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月26日
健康:イングランドにおけるカロリー表示の効果の評価Nature Human Behaviour
-
11月21日
生物学:全ヒト細胞アトラスの作成Nature
-
11月21日
健康科学:イカに着想を得た針を使わない薬物送達システムNature