代謝:日光が、男性の食物摂取を促進する
Nature Metabolism
2022年7月12日
Metabolism: Sunlight stimulates food intake in males
日光に曝されると、皮膚内の脂肪組織から分泌されるホルモンの働きによって男性では食物摂取が促進されて体重が増加するが、女性ではそうはならないという報告が、Nature Metabolism に掲載される。この研究では、日光が摂食行動と全身のエネルギー収支に影響を及ぼす可能性があるという、これまでほとんど見過ごされてきた仕組みが明らかになった。
食物摂取の必要性は、主として末梢組織と脳とのコミュニケーションによって制御されている。いくつかの臓器(消化管、脂肪組織、肝臓など)から放出されるホルモンが脳の特定領域(視床下部など)に到達すると、現在体内で利用できるエネルギーの量に応じて、食べるように、あるいは食べるのをやめるようにという要求を伝達する。
Carmit Levyたちは今回、イスラエルで約3000人を対象に3年間にわたって疫学的証拠を調べたところ、男性は、日射量がピークになる夏の間に食物摂取量が増加するが、女性ではそうならないことが分かった。この知見は、雄マウスに10週間毎日紫外線(UVB)を照射すると、空腹ホルモンであるグレリンの皮膚の脂肪組織からの放出が促進されるという研究によって裏付けられた。グレリンは視床下部に到達すると、これらの雄マウスの食欲を更新させ、食物摂取を増やし、体重増加を促進する。しかし雌マウスの場合には、性ホルモンであるエストロゲンが皮膚の脂肪組織からのグレリン放出を妨げるため、このような効果はみられない。さらに、実験としてヒト男性の皮膚サンプルを5日間UVBに曝露するとグレリンの発現が増加し、日光を浴びた後にみられる食物を探す行動の増加とよく符合した。
著者たちは、この研究によって皮膚の脂肪が日光への曝露を介して摂食行動に関わっている可能性が明らかになったと結論付け、エネルギー平衡方程式に、この新しいタイプの脂肪組織が加わる可能性があるとしている。関連するNews & ViewsではCarlos DieguezとRuben Nogueirasが、「この研究によって、エネルギーと代謝の恒常性に皮膚が果たす役割に関する今後の研究に、道が開かれるだろう」と強調している。
doi: 10.1038/s42255-022-00587-9
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