動物学:鳥類が安定した飛行をする時と不安定な飛行をする時
Nature
2022年3月10日
Zoology: The stability and instability of bird flight
鳥類の飛行は本質的に安定な時と不安定な時があることを明らかにした論文が、今週Nature に掲載される。この研究知見は、鳥類の進化によって飛行安定性が低下し、操縦性が向上しているという一般的な仮説と矛盾している。今回の研究は、鳥類の飛行の進化を解明するための手掛かりをもたらし、鳥類の操縦性の理論モデルの基礎を築いている。
鳥類は、翼の形状を変化させて、驚くべき空中操縦を行うことができるが、こうした動きの急激な変化のダイナミクスは十分に解明されていない。この点をさらに解明するため、Christina Harveyたちは、鳥類種(22種)が翼の形状を滑らかに変化させる能力(モーフィング)に関する研究を行った。鳥類は、翼のモーフィングによってロール慣性とヨー慣性(前後軸と上下軸の周りの回転)を変化させることができるが、これらの変化は重心の位置にほとんど影響しないことが判明した。また、17種の鳥類種は、安定した飛行と不安定な飛行を切り替えることができた。
現生鳥類は安定した飛行を行う能力を有している可能性が以前の研究で示唆されているが、鳥類は、進化の結果、ピッチ(左右軸の周りの回転)が不安定になり、操縦性が向上したと広く考えられている。今回の研究は、安定した飛行のための翼の形状と不安定な飛行のための翼の形状を切り替える能力が、進化圧によって維持されている可能性があるという新たな説明を示唆している。また、今回の研究は、鳥類の飛行操縦性の数理モデルを考案しようとしている人々に対し、これまで欠落していた知識をもたらした。現在、同様の学説が、航空機について存在しているが、今回の研究で慣性特性が詳しく解明されるまでは、鳥類に適用できなかった。
doi: 10.1038/s41586-022-04477-8
注目の論文
-
2月3日
医学:朝の免疫化学療法は肺がんの治療成績を改善するかもしれないNature Medicine
-
2月3日
神経科学:生後2ヶ月の乳児は視覚的に物体を分類できるNature Neuroscience
-
1月30日
生態学:スヴァールバル諸島のホッキョクグマは海氷の減少に対して適応しているScientific Reports
-
1月29日
ゲノミクス:AlphaGenomeはDNA変異の影響を予測するNature
-
1月29日
古生物学:中国における種多様性の高い古代の海洋生態系Nature
-
1月28日
考古学:東アジアにおける複合工具製作の最も古い証拠Nature Communications
