注目の論文
加齢:イングランドの50歳時点での平均余命の伸びは健康余命の伸びを上回る
Nature Aging
2022年1月21日
Ageing: Life expectancy to outpace healthy working life expectancy in England
イングランドでは、2015年から2035年までの健康労働寿命指標の伸びが、平均余命の伸びよりも緩やかになるという予測を示した研究について報告する論文が、Nature Aging に掲載される。この知見は、健康余命を引き上げるために役立つ政策措置を明らかにする必要性を明確に示している。
ヨーロッパでは、数か国の公的年金の受給開始年齢が、平均余命の上昇予測に合わせて引き上げられるように設定されている。しかし、高齢者の寿命が伸びても、健康に過ごし、働ける期間は、必ずしも同じ割合で伸びるわけではない。
今回、Marty Lynchたちは、1996~2014年に収集された死亡統計データと健康調査データを用いて、イングランドの50~75歳の男女について、50歳時点での平均余命と健康労働寿命指標(50歳以降に健康に生活して働ける平均年数の予測値)の将来の変化傾向を予測した。その結果、50歳時点での平均余命は2015年から2035年までに1年当たり平均10.7週(男性)と6.4週(女性)伸びると予測されたのに対して、健康労働寿命指標の伸びは、1年当たりわずか1週(男性の平均値)と2.8週(女性の平均値)になると予測された。
Lynchたちは、今回の研究では、イングランドで平均余命と健康労働寿命指標の差が広がると予測され、労働者の健康と福祉を支援する追加的な政策措置の重要性が強調されたと結論付けている。ただし、今回の研究で、こうした差が生じる原因に関する知見は得られなかった。
doi: 10.1038/s43587-021-00161-0
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