考古学:エチオピアで出土した最古のヒト化石の年代推定の精度が高まった
Nature
2022年1月13日
Archaeology: More precise age for earliest known human fossils from Ethiopia estimated
エチオピアで出土したキビッシュ・オモ1号の化石は、アフリカ東部で最古のホモ・サピエンスの化石として知られているが、これまで考えられていたよりも3万6000年以上古いものである可能性が生じたことを報告する論文が、Nature に掲載される。この化石人類は、少なくとも約23万3000年前のものと推定されたが、この時間スケールは、現生人類の進化に関する複数のモデルとの一致度が高くなっている。
オモ1号の化石は、これまで約19万7000年前のものと推定されていた。この年代推定は、火山噴火の時期に対応した火山灰層を研究することによってなされたが、疑問が投げかけられてきていた。今回、Céline Vidalたちの研究チームは、オモ1号が出土した堆積層を覆っていた火山灰層を再調査して、この火山性堆積物が、エチオピアの大地溝帯のシャラ火山の大規模な爆発的噴火に関連していることを明らかにした。Vidalたちは、こうした分析によって、この火山灰層の下にあったオモ1号の化石の年代を約23万3000(±2万2000)年前と正確に推定した。この年代は、現生人類の進化モデルの大部分と一致している。これらのモデルによれば、人類は、約35万~20万年前に我々の最も近縁な祖先から生じ、分岐したと推定されている。
Vidalたちは、オモ1号の年代について強固な上限を導き出すために新たな研究を行う必要があると結論付けている。また、さらなる分析によって、ヘルト人の化石の年代も確認できると期待されている。ヘルト人の化石は、エチオピアで発見されたホモ・サピエンスの初期の化石で、一般に16万0000~15万5000年前のものと報告されており、これまでの理解とは異なり、オモ1号の化石とは異なる火山灰層の下に存在していることが明らかになったからだ。
doi: 10.1038/s41586-021-04275-8
注目の論文
-
6月25日
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
6月24日
化学:細菌がプラスチック廃棄物を鎮痛剤に変換Nature Chemistry
-
6月19日
人類の進化:アフリカからの移動に先立つ、人間の生息域の大幅な拡大Nature
-
6月19日
気候変動:気候変動が作物生産に与える影響を評価するNature
-
6月19日
動物行動学:蛾の航行は星空に導かれているNature
-
6月17日
都市:人工光が都市部の生育期を延長させているNature Cities