注目の論文

古生物学:地球の南端にいた古代生物の生態を解明する手掛かりとなる化石の宝庫

Scientific Reports

2020年4月3日

Palaeontology: Fossil trove sheds light on ancient antipodean ecology

ゴンドワナ大陸南部に由来する琥珀の中に保存されていた動物と植物が、これまでに発表されたものの中で最も古いことを報告する論文が、今週、Scientific Reports に掲載される。ゴンドワナ大陸は、南米、アフリカ、マダガスカル、インド、南極、オーストラリアからなる超大陸で、約2億年前にパンゲア超大陸から分離した。今回の研究で得られた知見は、現在のオーストラリアとニュージーランドにあたる地域に三畳紀後期から古第三紀中期(2億3000万年前〜4000万年前)に存在していた生物の生態に関する理解を深めている。

今回、Jeffrey Stilwellたちの研究チームは、マッコーリー湾累層(オーストラリアのタスマニア島西部)から出土した始新世初期(5400万~5200万年前)の琥珀片とアングルシー夾炭層(オーストラリアのビクトリア州)から出土した始新世中期末(4200万~4000万年前)の琥珀片を5800点以上調べた。この論文では、交尾中の2匹のアシナガバエ科昆虫の珍しい「すくみ行動」について報告されている。この他に、ゴンドワナ大陸南部に由来する最古のアリの化石やオーストラリアで初めて発見された非常に小さな無翅の六脚亜門アヤトビムシ科昆虫「スレンダー・スプリングテール」などの化石標本もあった。また、若いクモの集団、ヌカカ、ゼニゴケ2種とコケ種2種も琥珀の中に保存されていた。

Stilwellたちは、オーストラリア南東部、タスマニア島、ニュージーランドで発見された堆積物も調べた。その中には、パンゲア大陸南部に由来するこれまでで最古(2億3000万年前)の琥珀、南極点近くの森林で見つかった9600万年~9200万年前の堆積物、5400万~5200万年前のフェルトスケールという名のフクロカイガラムシ科昆虫の完全な化石が含まれている。

今回の研究で得られた知見は、ゴンドワナ大陸南部に存在していた生物の生態と進化に関する新たな手掛かりをもたらし、今後もオーストラリアとニュージーランドで同様の発見が得られる可能性が非常に大きいことを示している。

doi: 10.1038/s41598-020-62252-z

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